山田晃士&流浪の朝謡「デラシネ・カバレット」


        

1. はいしどうどう
2. 頤の雫
3. ナイフ
4. カバレットへようこそ
5. 水の泡
6. 情熱
7. 黒魔術と猫
8. この有様
9. 話し相手なんかじゃない
10. 色恋
11. カバレットへようこそ ~リプライズ~
12. バルバラ・ソング
13. あなたのお気に入り

 
 ★★ 2015年 5月 13日発売 ★★        

                  \2778(税別) CSR-1503

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山田晃士&流浪の朝謡
2nd ALBUM『デラシネ・カバレット』
メンバーによる全曲解説!

お人柄溢れるメンバー全員による全曲解説。
こちらを読んでから聴くとまた違った曲に感じるかも?!
ゼヒご一読下さいませ。

1.はいしどうどう

ハードボイルドな曲と思われる、ライブ終盤で良く演奏される
テーマ曲的な「流浪浪々」に勝るとも劣らない、流浪テイスト溢れた楽曲。
大きな3連の決めから始まり、ジブシーブラス風な乾いたトランペットのイントロから始まり山田晃士の無頼漢的なボーカルが印象的。
サビからは、アコーディオンと重圧なトランペット・アンサンブルが濃厚に絡む。
間奏は、トランペット、ベース、ドラムの激しいバトルが聴かせる。
それを引き継いでギターがジプシー・ジャズ風のソロで答える。
後半は、山田のボーカルにアコーディオン、ギター、トランペットの厚いアンサンブルが絡んでテンション最高潮に盛り上がる。
全員で並んで録ったコーラスと効果音も楽しかった。
(福島久雄)

2.頤の雫

まずはこの題名の頭の漢字。
皆さん読めました?
わしははっきり言ってさっぱり読めませんでした。
一体日本国民の何パーセントの人がこれをオトガイて読めるやろか?
こんな漢字習った覚えないで。
おまけにわしの携帯では漢字変換して出てくるのは音害のみ。
音害の雫じゃ何か騒音問題の曲みたいで洒落にもならんがな。
意味も分からんので調べてみたら何のこっちゃない、アゴやて。
どうも晃士はややこしい漢字を歌詞やら題名やらに使いたがるから困ったもんや。
それはさておきこの楽曲、ご存知の方もいると思いますが
去年発売された晃士のベストアルバムにもボーナストラック的新曲として収録されてます。
なんで一度レコーディングした訳ですが、同じモノは出しませんよ的発想で気持ちも新たに今一度録り直しました。
まずナベさんのペットアレンジが変わり、かなりゴージャスにそしてシャープになりブラスバンド的要素増大で、わし思うところのシカゴとツェッペリンの融合かな。
ドラムもイントロ部分をちょい派手にしてライブで慣れた分前回よりのびのびと演奏してます。
確か2テイク目でOKにしたかな。是非両方聞き比べてみて下され。
(ロジャー高橋)

3.ナイフ

渡辺曲に山田さんが歌詞を付けてくれた可愛い怖い4ビートナンバー。
レコーディングしてる最中に思ったんだけど、作品として完成度が高いですな、これ。
早川さんのベースがこの曲のグルーヴを決定付けてます。
Nice Swing!!さすが元ジャズベース奏者。あ、現役ですね、失礼!!
レコーディング用に上物アレンジを見直しました。
アコーディオンは歌に寄り添い、ラッパは歌とは全く違う動きをしながら楽曲の推進力アップ。
苦労した甲斐があったってもんだ。
渡辺はラッパ×1+フリューゲルホーン×2の三人分演奏してます。
ベース&ドラムのスウィング、ギターのジプシー臭漂うジャズ、アコーディオンの煌びやかさ。
6人の力が化学反応を起こして可愛いけど怖い大人の世界をうまく出せたのではないでしょうか…。
(渡辺隆雄)

4.カバレットへようこそ

今までの人生の中で、ほんの数回だが、夢の中で曲を書いた事がある。
夢の中の私は、自分でも驚いてしまうくらいに天衣無縫に、緻密なアレンジの難しいスコアを書き上げているのだ。
ビッグバンドを指揮していた事もあったっけ。
夢だというのに、“私、こんな事出来たっけ?”
と驚いている自分が居たりする。
目が覚めると、曲を創った事自体は憶えているのだが、
どんな曲だったのかは憶えていない。
凄い曲だった気がして悔しい。
ならば、忘れない内にメロディーを口ずさんで録音しておこうと、
夢から覚めた直後に記録した事があった。
それが【モノローグ・シアター】に入っている『バシブズーク行進曲』である。
新鮮な喜びだった。
でも、うまくいく事は殆ど無い。
大抵は目が覚めた途端に忘れてしまっているのだ。
【びらん】の『泥沼ジンタ』は珍しい成功例。
さて、昨年の秋から冬に変わる頃、幸運が訪れた。
今回の『カバレットへようこそ』を夢の中で書いたのだ。
夢の中で書く曲にインスト曲が多いのは何故だろう。
今回、流浪の朝謡のレコーディングが終わり、ミックス作業でこの曲をメンバーで聴いている時、一瞬、全員が“?”になった。
サブロッソがハーモニーのパートを弾いていない事実が発覚したのだ。
流浪の“行き当たりばったり番長”サブロッソは決まり事が苦手。
結果、トランペットとユニゾンになってしまった。
それも含めて、現在の流浪の朝謡をよく表しているナンバーだと思う。
(山田晃士)

5. 水の泡

旅人ミュージシャンである僕から見ても、
この楽曲は紛れもなく「旅立ちの歌」だ。
聴いていて、向こうの世界へ永久に旅立つときが、
何だか楽しみに思えてきてしまうから不思議だ。
僕のお葬式では、是非とも晃士さんにこの曲を歌って欲しい、、、
かもしれない。
(田ノ岡三郎)

6.情熱

熱のあるバラードを書きあげた時、作家として大きな喜びがある。
そしてそれを唄いあげる時、表現者として大きな喜びがある。
『ひまわり』『朧月心中』『接吻』……。
私の場合、作為的にバラードを書くのは難しい。
良いバラードはいつも“降りてくる”のだ。
永く唄い続ける事の出来る楽曲、つまり普遍性という側面で言うと、年齢を重ねる程に奥行きが増し、意味合いが深くなり、そしてシンプルになってゆく。
今回の『情熱』も、紛れ無くそういった部類の楽曲で、
この年齢の山田晃士でなければ書けなかったし、唄えなかった歌だ。
この曲を書けた事を嬉しく思う。
ずっと、唄い続けていきたい。
(山田晃士)

7. 黒魔術と猫

ジプシーと言うと流浪の民だから、ヨーロッパの色々な都市の周辺で大道芸や占いや道具の修理などを生業としていた。
この曲のタイトルは、そんなイメージから付けた。
彼らは馬が引くキャラバンで移動しながら暮らしていた。
ジャンゴ・ラインハルトというマヌーシュというギタリストがいたが彼が生まれた頃は、そのような時代だったようだ。
彼の作品にマイナー・スウィングという有名な曲がある。
この曲のフィーリングを今の雰囲気で聴かせるにはどうしたら良いか、と考えて創った曲である。
ベースの弓奏法をフィーチャーしたイントロから始まり、バルカン風のエイトビートとスウィングが入り混じった本編の演奏へと移行っていく。
メンバーそれぞれの音楽表現が堪能できる素晴らしい録音となったことは、嬉しい限りだ。
(福島久雄)

8. この有様

まったくなあ、この有様だよ。
またこんなになっちゃって。
ぬかるんだ夢の轍だよ。
未だ岸辺は見つからねえしよぉ。
ウーッ!!
でもこの間の健康診断で、
毎日飲んでて、午前中走ったら昼飯には必ず食前食中酒飲んでるけど
中性脂肪は46でγ-GTPは27だったからまあいいか。
(早川岳晴)

9.話し相手なんかじゃない

この曲は正に流浪らしい流浪ならではの多国籍料理的な楽曲。
この編成、このメンバーでしか絶対出せない音。
ま~全曲そうなんやけども。
ラテンて言うんですか、何て言うんですか、言葉で表すのは難しい。
だいたいハードロック上がりのわしとしましてはラテンやサンバやジャズって聞いた事はあれど馴染みは薄いしあまり演った事なかった。
なんで恥ずかしながらわしのは全てナンチャッテ〇〇なんですわ。
けど負け惜しみやないけどこのバンドでは逆にそれが良かったんかな、て。
それが言葉では表せない音になり、個々のメンバーの個性が合わさって不思議な音になる。
流浪は大体全曲そうやけどこの曲は特にそれが如実に表れてるんちゃうかな。
この曲も確か3テイクぐらい、て言うか全曲それぐらいで、
わし的にはドラムは3テイク以上演ると悪くはなれど良くはならないと信じてます。
それは飽きてくるていうのもあるんやろか(笑)
また流浪は今やレコーディングでは一般的になったクリックを一切使わず皆でリズムを創り皆で揺れる、これがまた絶妙なんですわ。
そんなもんやからこの曲の間奏終わりの面倒なキメはちょっと大変やったけどね。
(ロジャー高橋)

10. 色恋

この度初めて流浪に自曲を取り上げて頂くことになり
感涙にむせんでおります、ゲホゲホ。
長年数多くの曲を世に送り出している僕ですが
歌モノとなると忌野清志郎君が歌って売れなかった2曲と
最近では鈴木亜紀嬢が「タンゴ」というタンゴに歌詞を付けて
歌ってくれているくらい。
流浪の他の曲と格調が合わないかと危惧していましたが
さすが晃士君、こんなタイトルでイヤラシイ歌詞を作って
イヤラシク歌い上げ、全く他曲に遜色ないイヤラシさです。
感謝。
イヤラシさを引き立てるホーンアレンジをしてくれた渡辺君、
ひとりひとりがイヤラシく演奏してくれた皆もさすが。
今までの僕には縁の無かったイヤラシさに開眼しました。
みんな、ありがとう!!
(早川岳晴)

11.カバレットへようこそ ~リプライズ~
12.バルバラ・ソング

これ、候補曲に入ってませんでした。
おいらが土壇場になって「やっぱり入れようよ」と。
2nd album唯一のカバー曲。ブレヒトの戯曲にクルト・ワイルが音楽を付けた1928年初演の軽オペラ作品『三文オペラ』の中で歌われる女歌。
もともとおいらが「流浪の良さを伝えるのにこんなに適した曲ないよな」と思ってコードを付け全体感もアレンジして山田さんに「これ、唄わない?」って持って行った曲。めまぐるしく展開する世界感、ハードなビート、分りやすいオチのついた甘~い歌。
まさに流浪のために用意されたかのような作品じゃ~あ~りませんか!?
クルト・ワイルに聴かせてあげたかったな。
だがしかし、レコーディングはちょっと大変だったのです。
何がって。
これだけめまぐるしくテンポやリズムが展開、しかも歌が牽引して。
ということは、通常のレコーディングではリズム隊~コード楽器~ホーンと音を積み重ねて行って、最後に歌の本チャンを入れるんだけど、これは最初からバンドと一緒に本チャンの歌入れをしなきゃいけなかったのですよ。
スタジオ録音でバンドと一緒の一発録りって山田さんの長い経歴の中でもそうそうないんじゃない?
その出来は如何に!?
聴いてのお楽しみ~♪
それと、最後のaccell(加速)しながらの爆発も流浪ならでは。
スタジオでロジャーさんの感覚がピタッと来ましたね。
それに追いつき追い越す福島さんの鬼才ぶりをとくと堪能ください♪
凄いっす。
(渡辺隆雄)

13.あなたのお気に入り

ミュージカル劇団「流浪の朝謡」の華麗なる主題歌!!
あなたのお気に入りを、いっぱい思い浮かべながら
聴いて欲しいな おねぃさん。
(田ノ岡三郎)